テレビ、ネット等でご覧になったかたも多いと思いますが、奈良県で学生5人の乗った車が横転して橋の欄干に激突して全員死亡するという事故が先日発生しました。無謀な運転の可能性が高く、ご意見・ご感想は色々あると思いますが、痛ましい事故で将来のある若い命が絶たれたことは悲しい出来事です。ご冥福をお祈りしたいと思います。


クルマを取り扱っている立場で多少なりともクルマの安全について考えている者としてあの壊れ方は率直に衝撃的でした。橋の欄干に突っ込んだだけならあんな壊れ方をするわけはないので横転により大破したのだと思われます。


車名は恐らくこれという情報がありましたので見てみたのですが、ちょっと旧めで重心の高い小型SUVです。フル定員乗車だったこともあり慣性が大きくなり勢いが増して大きな衝撃が車体に掛かったことが推察されます。


あくまで私見ですが、タイヤの摩耗やサスペンション周りの故障・不具合がなかったとすると「速度超過→アンダーステア(※)→急ハンドル→横転」 という順序だったと想像します。欄干に衝突しそうで急ハンドル切ったと思うのですが実際は不明です。 ※簡単に言うとステアリングを切っても曲がらない状態です。


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最近の国産車は剛性、安全性ともに向上していますが、この車種は90年代後半に販売が開始された車種です。この頃の国産車は決して剛性が高くありません。エンジンパワーとシャシー(車台)のバランスが不釣合いのものもあり、経年変化でボディが歪んでしまっているものも多いはずです。サスペンション性能や取付け剛性の弱さから限界性能が低いものも多いと思います。(詳細説明は割愛しますが、これらの要素はアンダーステアを助長することが多いです。)


旧いクルマは安いことが多いので初めて乗るクルマやあまりお金をかけたくないけど必要に迫られて乗るクルマという場合等に良い選択肢となるケースもあります。


国産車は壊れ難いとは言え、10年、15年と経つと大きな故障が出てきたり、15年以上経つといざ壊れた時にパーツの入手が難しかったりする確率は上がります。中古で買った値段より修理費用のほうが高かったなんてことが発生するケースもあります。


分かっている人や使い捨て的に割り切れる人はいいのですが、旧いクルマと新しいクルマを同じ次元で考えるのは色々な意味で誤解を生みやすいです。自己責任で好きで乗るのは構わないのですが、初めてのクルマとしては適さない部分もあります。


安全性が低かったり維持に手間と費用が余計に掛かったりするデメリットが付きまとうことを頭の片隅にでも置いていただきたいなと思います。本質的には運転経験が少ない人ほど安全なクルマに乗るのが正しいと思うのですがどうでしょうか?(若い人のほうが収入が少なくいことが多く高いクルマを買いにくいという現実とは矛盾してしまうのですが・・・)


最後に、スピードはアクセル踏めば出ますので簡単です。でも、それはクルマの性能であってドライバーの技量ではありません。ドライバーのスキルに属するものは車体のコントロール、速度コントロールとブレーキングです。勘違いせず、クルマの性能と自分の腕を過信せず。これが自分や同乗者を守るために必要な心構えだと思います。



本日もお付き合いいただきありがとうございました。
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